本気で大好きでした。


お母さんの病室の前に立ち止まる。


あー、やっぱし怖いな。

逃げるな、逃げるな。

あたしは強くなるんだ。


「すいませんっ そこよけてください!」


白衣を着たおじさんと、看護師さんが2人。

あたしを避け、白衣のおじさんが病室に入っていく。


「あなたも急いで入ったほうがいいわ」


看護師さんにそう言われ、なんとなく察しがつく。

機械音と那緒の啜り泣く声が聞こえる。


こんなにパニックになるなんて思っていなくて

看護師さんがあたしの腕を引っ張り、病室に入れられた。


お母さんの腕をつかみ泣いている那緒。

スマホを見ながらくつろいでいるれな。

そして…… 

「めぐみっ!しっかりしてくれよ… 俺との約束忘れたのかよ……」

久しぶりに見たお父さんの姿があった。

てっきり離婚したのかと思っていた。



なんでれながいるの

なんでお父さんがいるの

なんで那緒泣いてるの

なんでこんなに病院の人いるの

なんでお母さん目を覚まさないの


すっかりあたしの頭の中はパニック状態。



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