君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】



勝手知ったる幼馴染の家。




申し訳ないなーと思いながら、
ぐるりと家の中の庭を一周して
アイツの姿を探すものの手掛かりは何もなし。




もう一度玄関に戻って、チャイムを鳴らそうとした時
馴染みの声が聴こえた。




「おやっ、紀天君」



帰って来たのはアイツの母親。



「晃穂は水泳部の合宿だよ。

 合宿の途中に大会もあるらしいけどね。
 あの子から聞いてなかったのかい?

 てっきり、おめかしして出掛けた日
 おばさんは、紀天君とデートかと思ってたんだけど」




何気なく告げらたれデート当日の情報に
心がズキっと痛くなった。




「あの日、後輩の弟が亡くなって行けなかったんですよ。
 晃穂にはメールしたんだけど繋がらなくて」


「そうかいっ。

 そういや、アンタのとこの両親も喪服で出かけてたよね。

 もしや行方不明の尊夜君が遺体で見つかったんじゃないかって、
 縁起でもないこと考えてしまったけど、ニュースは何も言ってこないしね。

 けど、TVっていやぁ、瑠璃垣財閥って言う
 大きなところの息子さんが亡くなったんだってね。

 まさか……紀天くんの後輩の弟って、その子の事かい?」


鋭いやら、天然やら。


遠慮のかけらもないペースで話しかけられる会話は、
全て真実に近くて、オレはどう切り返していいか言葉に詰まってしまった。




「あっ、すいません。
 
 オレ、学院に行ってアイツの合宿所たずねます」


どうにか逃げ出すように、おばさんの前を後にして
オレは自宅に戻って、財布と携帯をポケットに突っ込むと
ラフなスタイルに着替えなおして慌てて飛び出した。
 

大会の会場で、会ってもいい。


ちゃんとアイツに謝って……全部伝える。



本当に大切なアイツには、
晃穂には、もう隠し事はしたくないから。 





それと同時に思い浮かぶのは、
アイツのメンタルの弱さ。




メンタルの調子がいい時は、信じられないような記録を出す癖に、
メンタルが一気にカダオチすると、アイツのタイムは……。



今の状態のアイツが
大会で活躍できるとは思えなかった。



アイツの競技の時間までに、
全ての不安から解放してやりたい。




ただそれだけを思って、
アイツを追いかけた。





打ち明ける秘め事。



全てはそこから、始まるのだから。
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