君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】

6.アイツの脱退 ~Rapunzel~ -晃穂-



その日、珍しい電話番号が表示された。
アイツのジュニアである瑠璃垣伊吹と出逢ったのは過去に一度。

たった一度、アイツとのデートの会場提供に姿を見せた際、
尊夜くんは、連絡先を教えてくれた。

電話番号は登録した物の、出逢った高校時代から大学生になった今も
一度もその番号が表示されたことなんてなかった。




尊夜くん




液晶に表示された名前を確認して緊張が走る。



「もしもし、絹谷です」

「突然のお電話すいません。
 紀天から……デューティー紀天のジュニアを務める
 瑠璃垣です」

「えぇ、覚えてるわ。
 アイツが君にも迷惑かけてるよね。多分」

「いえっ。
 実はお耳に入れておきたいことがあって、お電話させて頂きました。
 
 たった今、僕はRapunzelを抜けました。
 多分、今頃は紀天も脱退しているかもしれません。

 明日から家の用事で日本を離れます。
 留守の間、デューティーのことお願いします」



お願いしますって、バカ・紀天。

弟にこんなに心配されてどうすんのよ。
アンタは。



「伊吹さん……って言うよりも、尊夜君って呼ばせて貰ってもいいかしら?
 私にとっての貴方は、出逢ったときから瑠璃垣伊吹君じゃなくて、廣瀬尊夜君だから」

「好きに呼ばれて構いませんが、場所と空気の判別はお願いします」

「そっ……そうだね。
 でも……やっぱり、私にはアンタは尊夜くんだよ。

 そっちは大丈夫?」

「……多分……。

 今から気持ちを立て直して、明日からの家業に専念します。
 そのまま夏休みに入りますので、紀天をお願いします」

「了解。紀天は任せて。
 アンタも抱え込まないで、何時でも連絡しておいで」

「それでは、失礼します」



突然の電話は、暫くの会話を交わして通信を終えた。




そのまま部屋着から着替えを済ませて、
玄関の方へと歩いていく。


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