君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】



その後も、練習してきたセットリストは
尊夜の判断で、変わっていく。



変わっていくセットリストに、
他のメンバーも何一つ文句言うことなく
一瞬についてきてくれる。




俗に言う聴かせるための曲を減らして
ファンを煽っていく、アップテンポの勢いで押し切れるセットリスト。




俺がもしミスっても、フォロー出来そうな
勢いで押し切れそうな曲が続いた後、
俺たちメンバーは、一旦ステージを降りた。



俺が動揺していたことは、
メンバーもすぐに気が付いていたらしく、
その理由も御見通しのようだった。




「晃穂ちゃん」

「晃穂さん」



メンバーから紡がれた言葉は皆、アイツの名前。


バックに戻った俺に、
メンバーの誰一人、文句を言う奴はいない。





メンバーそれぞれが、心配そうに俺に視線を向けた。





「取り乱してすいません」

「憲、絹谷先輩は?」



Takaも託実も、学院時代から有名な
アイツの苗字を口にする。


一人、口を紡いだままの祈も
心配そうに俺に視線を向けた




「はいはいっ。
 まだステージは残ってる。

 紀天も動揺し過ぎ。
 ほらっ、言わんこっちゃない。


 だからオレは晃穂ちゃんを、
 こっち側に連れてこいって忠告したんだよ」


そうやってキツメの言葉を俺に浴びせながら、
アイツは自分の荷物から携帯を取り出す。
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