君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】

「今日はクリスマスイヴ。
 オレたちAnsyalにとっても、メジャーデビュー1周年と言う
 記念すべき日を迎えることが出来ました。

 この日を迎えられたのも、オレらを支えてくれるファンの皆がいるから。

 メンバー全員、本当に感謝してます。
 今日はTakaが時折、演奏をミスってごめんな。

 開演してすぐも、オレたちじゃなくてオレらの仲間が力をかしてくれました。
 ちょっとTakaが遅れてきたんだ。

 この雪だろ。
 一気に風邪引いたみたいで、朝から熱が高すぎてな。
 まっ、インフルじゃなかったらしいから、お前らも安心しろ。

 んじゃ、今夜はクリスマスイヴ。
 Takaと託実は少し休憩な」


そう言うと、託実は雪貴をサポートする素振りでステージを後にする。

俺もステージから退散しようと、ドラムセットから離れると
「憲」っと尊夜に呼ばれて、俺はステージへと逆戻り。



「帰りたいの?
 オレ、お前には帰っていいなんて言ってねぇから」

そう引き留められる俺に会場から笑いが零れる。


「お前はこれな」


そう言って手渡されたのは、スレイベル。


「えっ?」

「そう。クリスマスの打楽器と言えば、ジングルベル。
 これでしょ」


確かにスレイベルは、そりの鈴と言われているけど……。


突然の不意打ちに、黙ってスレイベルを受け取ると
その場で軽く振って、鈴を鳴らしてみる。


その後は、暗転したステージから、一筋の光のようにライトが降り注いで
祈と十夜のギター演奏で、アイツはクリスマス聖歌をアカペラで歌い上げた。


そのまま暗転したステージ。


アンコールの後、最後の三曲を演奏し終えた頃には三時間が過ぎていた。


高熱設定のTakaだけを残して、
いつものファンサービスを終えて楽屋に戻ると、
そこには衣装を脱いでメイクを落とした雪貴。

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