君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
「誓詞 今日を良き日と定め……」
テーブルに置かれていた誓いの言葉を読み上げていく。
アイツが読み上げていく途中、自分の名前のところだけ声に出す。
その後に続くのは玉串奉奠【たまぐしほうでん】
玉串を神様の前に捧げて二礼二拍手一礼。
そして、指輪の交換、親族杯の儀【しんぞくさかずきのぎ】へと儀式は進んでいく。
両家の結び付きを祝って、私たちと参列者が全員でお神酒を三口で飲むと
斎主と参列者全員が神前に拝礼して、斎主からの挨拶を貰った。
その挨拶の中で始めて知ったのは、
私たちの式の斎主をしてくださったのは、お母さんとお父さんの結婚式でも
斎主をされた方だと言うこと。
そして絹谷家の一族が代々、この場所で神様に結婚の報告をしていた場所だった。
初めて来たように感じてたこの場所に、私は何度か来たことがあったと言うことだった。
挨拶の後は神前に一礼して退下【たいげ】。
緊張のままに過ぎていった時間も、
振り返ってしまえば、あっと言うまで……その後は、
両家の親族と、Ansyalのメンバー、宝珠さまと、雅楽を奏でてくださった
宝珠さまの関係者の方と共に、食事会をして長い一日を終えた。
その日、私と紀天は婚姻届を記入して役所へと届け出た。
絹谷晃穂から、廣瀬晃穂へと名前が変わった日。
アイツのことがまた好きになったそんな一日。