君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】

二月の中旬ころからは、
来月のAnsyalの春季ツアーの練習と新曲のレコーディングまで
予定に入って来る。



過密すぎるスケジュールを何とかこなしながらも、
俺も晃穂もかなり疲労度マックスで、栄養ドリンク片手に乗り切る毎日。





「紀天、今日、私宝珠さまと咲空良お母様と出掛けてくるね。
 披露宴用のドレスが出来上がるんだって」

「あぁ、行って来い。
 気をつけろよ。ついでに、母さんたちと美味しいもんでも食べてこいよ」

「うん。じゃあそうする。
 紀天も無理しないようにね」

「まぁ、ほどほどにな。
 今日も新曲のPV撮影が夜中に予定に入ってるから遅くなる。
 先に寝るなら、休んでていいから。

 一時間だけ仮眠して俺は出掛けるよ」




晃穂に声をかけて、そのまま寝室のベッドに倒れこんだ。


一時間後、目覚ましに起こされるように怠い体を起こして
そのまま身支度を整えて、瑠璃垣へと出社する。


その後は、尊夜と合流してスタジオへ。

祈と雪貴の学校が終わる夕方から本格的な練習が始まっていく。



それでもその日はドラムを叩いても叩いても納得いく演奏が出来ない。

そんなコンディションにイライラして、余計に躍起になって練習量を増やすものの
ストレスが溜まるだけだった。




「紀天、一息入れよう」



そう言うと尊夜は、シェーカーを降ってグラスにそれぞれのイメージしたカクテルを作り上げて
注いでいく。



「おっ、十夜のカクテル久々だな」


そんな声と共に、託実はグラスに手を伸ばして飲み干す。



「祈のはアルコール少なめにしてあるし、
 雪貴のはとりあえず未成年だから、ノンアルにしてる」


尊夜の言葉に、祈と雪貴もグラスに手を伸ばすと
飲み干して「美味しい」と笑みを見せる。



「ほらっ、お前も飲みな」



促されるままにグラスを掴んで、流し込んだカクテルは
アルコール度数をキツメにわざと作られていたのか、
俺は尊夜を睨みながら、そのまま意識を持っていかれるように倒れこんだ。



目覚めたのはスタジオの一角にある仮眠用のソファーベッド。


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