君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】


「えぇ、国臣。ただいま」

「お荷物お持ちします」


そう言うと国臣と呼ばれた少年は立ち上がって
高臣さんの手に抱えられていた書類を受け取る。


「紀天、こちらは惣領国臣【そうりょう くにおみ】。
 私のジュニアです。

 どうぞ、お見知りおきを。

 国臣、部屋に戻って過ごしやすいようにお香を焚き染めて頂けますか?」


高臣さんがそう告げると、
国臣は、一礼して階段を駆け上がっていった。


「紀天、こちらへ」



デューティーに促されて、
ついていった先にはオレが生活する部屋。



その部屋は共有部分と個人スペースを兼ね備えた
二人部屋で、その中の一室で生活するようにと伝えられた。


その後、デューティー過ごす部屋へと案内される。



これからの三年間、デューティの部屋と自分の部屋を行き来することが多くなる。



「あの……竣祐総代、
 オレにもジュニアはつくのでしょぅか?

 それに……隣の部屋は?」


共有部分と個人部分。


個人部分は、鍵がかかる形で二部屋。
だから当然、もう一人の寮生はいるわけで。



「紀天のジュニア?いるよ」



そう言うと、竣祐総代は電話を引き寄せて、何処かのボタンを押した。



『はいっ』

『グランデューティ。

 先ほど、廣瀬紀天が到着しました。
 お邪魔してよろしいですか?』

『どうぞ』




交わされた言葉に、緊張しているのか手から汗が滲みだすのを感じる。



竣祐総代と出掛けたのはエレベーターを乗り継いだ最上階。



『最高総ROOM』と札がかけられた
その部屋の前で姿勢を正してドアをノックする。



そこから姿を見せるのは、赤茶色の髪を、
左側でゆっくりと結んで同じ紫の組紐で結わえた青年。  


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