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 その周囲の異変に気づいたのか、初老の女は、首をぜんまいを回すようにゆっくり左右に振り分け、「冗談よ、年寄りの遅咲きジョーク」という造語を生み出した。
 梨花は、ふっ、と息を吐く。
 やれやれ、人間というのは扱いづらい。
「おばあ様」と鳥男がこの場に不釣り合いな丁寧語を発し、「突然ビンタされるのは、あり、でしょうか?それとも、なし、でしょうか?」と訊いた。
 初老の女は鳥男に近づき、「あり、に決まってる」と左頬を平手打ちした。それも、梨花と同じ場所。
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