ノスタルジア
今こうして、初めて外の世界へ出てみて。
行きたいところ。
欲しいもの。
見たいもの。
澪に聞かれて、何一つ出てこない。
ただ彼が隣にいてくれるだけで。
こうして手を握りあってるだけで満足だと感じている私は、なぜあれほど外に出てみたいと思っていたのだろう。
「欲がないのか、キキは」
「欲……」
「難しいなら、考えなくていい。適当に歩いて回ろう」
なかなか答えの出ない私を、彼はそうフォローしてまた歩き出す。
やっぱり私は、その握られた手を頼りに彼の後をついていくしかないのだ。