ノスタルジア
俺の問いかけに、彼女は静かにまぶたを閉じる。
そして……首を縦に振った。
「そうね。あのとき澪がもしあたしの腕を掴んでいたなら……こうはならなかった」
何も言えず。
握りしめた指先に力が入る。
嗚呼、俺はまた君を後悔させているのか。
「……だって、きっともしそうなっていたなら。あたしは貴方の隣で笑うことなんて、できなかったもの」
だけど、続けて彼女の口から吐かれた言葉は。
暗く薄雲る俺の心に、わずかな日差しをさす。