不機嫌honey
マジでうまいな…。



ユウリもうまいのか?



柄にもなく、他人の歌に聞きほれた。



「どう!?」

「いいよ」

「そうでしょ?あたし、何でもできちゃうの」

「料理は?」

「うっせぇ、ハゲ」



だけどマジでコレはうまいな…。



今までやってなかったんだろ?



「お父さんが褒めてくれるのが嬉しくて、いっぱい歌覚えたんだよ」

「お前の親父、洋楽好き?」

「うん、ママとよく聞いてたんだって」



そうか。



って、ママ?



そういや、コイツらの母親はどこ行ったんだ?



「母ちゃんは?離婚か?」

「うん。お父さんが借金の保証人になったでしょ?その逃げた相手と一緒に逃げたの~」

「ハードだな…」

「別にママなんかいらないし。今は澪王がいるもん」

「カワイイことを…。じゃ、俺のために歌ってもらおうかな」

「なにがいい?バラード系?」

「泣けるヤツ」

「はぁい」



シュリが欲しくなった。



この声が欲しい。



俺、シュリが欲しい。



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