不機嫌honey
マジ、どうしよ…。



「邪魔すんなよ?」

「うんっ!!」



素直なシュリに甘い自分にがっかりしながら1階へ。



いろんな楽器やら完全防音の個室があるここ。



ライブで歌いまくったので、歌は歌いたくない。



仕事しにきたってより、逃げてきたんだけど。



シュリがいたら意味ねぇし…。



「この部屋なに?」

「外に音漏れねぇの。歌う?」

「歌う」



マジで?



なんか楽しそうだから録音していい?



「何の曲?」

「澪王のヤツ。あたし、最近の歌知らないし」

「ははっ、本人の前でよく歌えんな」

「うまいよ、あたし」



セットしてやったマイク。



ペコッと頭を下げたシュリが音楽なしで歌い初めて。



自分でうまいと言いきっただけあって、マジでうまいかも…。



「ちょっ、ストップ」

「なんで?」

「ほかの曲歌えねぇ?」

「昔の洋楽でいい?お父さんが好きだったの」

「ん、どうぞ」



なんだか燃えてきた。



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