BLACK or WHITE
「…気に入らなかった?」
彼の不安げな声に、ふるふると首をふる。
「びっくりしただけ」
「なら、良かった」
そう言って彼は笑い、箱の中からそれを取り出した。
──シンプルな細身のリングを。
「婚約指輪は、もっとちゃんとしたの準備するからね」
「え?これじゃないの?」
「うん。これは虫よけ」
「虫よけって…」
私はそんなにモテる方じゃない。
そんな私を選んだ博樹は、物好きな部類に入ると思う。