ひまわりの涙
扉を出たところに鏡が待機して待っていた。


「そっちはどうだ?どこまで進んでる」


「まだ時間はかかるかと思います」


「そうか…何事も起きていないな?」


「はい」


二人は短く言葉を交わすと鏡は会場へと戻っていった。


司は鏡が持ってきた食事と飲み物を持つと温室の中へと戻っていく。




春仁は隣で笑う西条アヤメなど目にも入らなかった。


見た目は美しいかもしれない…しかしそれだけだ。


それよりも鞠乃がきになり、周りの祝福の言葉も耳に入らない。


上辺だけの挨拶ですませ、鏡明人を捜す。


「春仁さん?どうかなさいましたか?」


アヤメは春仁に腕を絡め、甘えた声でささやく。


「鏡を探している。大事な用事を思い出したんだ…すぐに戻る」


絡んでる腕を解き、会場の隅に居る鏡の元へと急いだ。


アヤメは春仁の後ろ姿を見つめながら苦虫をつぶした様な表情で見送っていた。
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