最後に、恋人。





「・・・・・急に旅館の予約変更出来るわけないじゃん」





由紀が今度は呆れた視線をオレに向ける。




・・・・・変更してやろうじゃん。





「由紀、旅館の電番教えて」





早く早くと由紀の方に手を伸ばすと、由紀が面倒臭そうに旅館のパンフをオレの前に置いた。





旅館に電話をかけると、平日ということもありあっさり変更OKだった。





『ふんッッ』勝ち誇ったかの様に由紀に向かってワザと鼻息を漏らす。





そんなオレの鼻を由紀が思い切り摘んで捻った。





「痛ッて」





「ばーか」





由紀が真っ赤になったオレの鼻を見て笑った。





由紀が笑うだけでこんなに嬉しいと思うのは





こんなに切ない気持ちになるのは






由紀がもう少しで死んでしまうからなのだろうか。
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