最後に、恋人。
慌てて露天風呂へと走る。
途中、中庭でぼんやり夜空を見上げる由紀を見つけた。
「由紀!! 何やってんの?? 心配したじゃん!!」
急いで由紀に駆け寄る。
「湯冷めして風邪でもひいたらどうすんの」
由紀の腕を擦って暖める。
「そんな今日明日死なないって」
由紀は、困ったように笑いかけると、また空を仰いだ。
「・・・・・死んだら星になるっていうキレイな作り話、誰が最初に言い出したんだろ」
ポツリ、由紀が零す。
「・・・・・作り話て」
「だってそうじゃん。 そのくせみんな、生まれ変わったら異性になりたいだの何だの言うじゃん?? 万が一生まれ変わったとしても人間じゃないかもしれないのにね。 ゴキブリとか溝鼠になるカモとは思わないんだよね。 つーか、そもそも星になったんじゃないのかよってね」
由紀が田舎の満天の下で、ブラックな毒を吐く。
まぁ、言ってる事はもっともな事なんだけど。
ふと、千沙の言葉を思い出す。
『生まれ変わったら、由紀さんと結婚する??』
オレは、生まれ変わったら由紀とは会わない。
今生で最後。
由紀を来世でまで不幸になんかしたくない。