・*不器用な2人*・(2)
「この子と付き合って1週間もしないのにさぁ、次の彼女ができたんだって芳野!

それで昨日突然別れようと言われたらしいんだけど、可哀想すぎない!?」

――いや、まったく……。

冷たい言い方かもしれないけれどまさに他人事だったので、私は笑いながら首を傾げるしかなかった。

「そもそも、あの芳野と付き合おうと思った時点ですごい勇者だと思う」

梶君が言うと、女子たちは一瞬で絶句した。

「1年の時から女癖の悪さで有名じゃん、あいつ。
もっとまともな男子好きになれよ」

梶君の横から顔を出しためぐちゃんが明るく言うと、フラれたばかりの女子が「そうだけどぅ……」と頬を膨らます。

「ポイ捨てでよかったじゃん。
使い捨てなんてされたらシャレにならないよ。
未開封だったんでしょ?」

めぐちゃんの横に座っていた石田君が言うと、女子たちはまた言葉を失ったようだ。

「風野ちゃん、芳野と仲良いでしょ!?
なんか弱点とか知らない!?
嫌いな食べ物とかその程度でいいんだけどさ!」

女子たちにそう訊ねられ、私は昨年のことを直ぐに思い出した。

――先端恐怖症、だったっけ。
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