・*不器用な2人*・(2)
「バスケ部全員で回るなんて、2年は仲が良いんだね」

私が言うと、城島君は「もちろん」と大きく頷いた。

「去年から毎日ずっと一緒に頑張ってきたくらいだから。
そこら辺の生温い仲間意識とは違うよ」

城島君は笑顔のまま胸の前でグッとガッツポーズをする。

その手をすかさず梶君が引っ掴んだ。

「梶先輩、何でそんなに手ばかり気にするんですか」

城島君がおかしそうに笑うと、梶君はいきなり手にグッと青筋を立てた。

ひぃ……という漫画のような悲鳴を上げて、城島君がパッと梶君から離れる。

「動きが遅いなーってなんとなく思ってたんだけど、やっぱり痛かったんだ」

城島君は暫く硬直していたものの、すぐに梶君から顔を逸らした。

「腱鞘炎って目に見えるものじゃないよね!?」

大声を上げる城島君に、梶君が軽く頷く。

「おまえ、湿布とか絆創膏の類のもの貼ってただろ。
テープを長期間貼ってると手の甲が荒れるじゃん」

トントンと梶君が自分の手の甲を叩くと、城島君が慌てたように自分の手を見る。

言われてみれば、少しだけ赤みがあるような気もする。

絆創膏をはがし忘れた時のような赤と白が混じったおかしな色だ。

「たぶん自覚あると思うけど、城島の動きってすごく遅いんだよ。
手、使い過ぎてるんじゃないの」

呆れたように梶君が言うと、城島君はバツの悪そうな表情を浮かべる。

「いや、最近勉強してて、鉛筆持ち過ぎたっていうか……」

「嘘つけ、おまえ教科書も開けないレベルにバカだろ」

梶君の言葉に城島君は大きく肩を落として、渋々というように頷いた。
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