・*不器用な2人*・(2)
戻って来た城島君は、井方君を見下ろしてから私へと視線を寄こした。

「城島君がここ離れて3分くらいの時だったと思うんだけど……。
お腹が空いたんだって」

私が言うと、城島君は眉間に皺を寄せながら、井方君の前に腰をおろした。

「井方、ジュース飲む?」

城島君が差し出したジュースを井方君は無言で引っ手繰ると、ストローをくわえた。

「腹減った」

井方君が呟くと、城島君は買って来たホットドッグを素早く彼に手渡す。

それはまるで燃料が切れたロボットのようで、文字通りのエネルギー切れだったと思う。

その時は、ただお腹が空いて力が入らなかっただけだと思った。

身体が弱かったという話を聞いた後だったし、多少デリケートなところもあるのだろうと考えていた。

「食べておいて悪いんだけど、ホットドッグって確かいっ君のやつじゃん?」

井方君が思い出したように言うと、城島君が「ほんとだ」と大声で言った。

「ヤバいじゃん。わん子とか大地ならまだしもいっ君って……」

井方君と城島君は顔を見合せて、ボソボソとやり取りを始めてしまった。

いっ君という聞き慣れない名前に首を傾げかけた時だった。

「城島たち、遅すぎ。
みんな腹空かせて待ってるんだけど」

制服のズボンからチェーンを垂らし、左手のすべての指に厳つい指輪をはめた男子が、ジャラジャラと金属音を鳴らしながらやって来た。
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