・*不器用な2人*・(2)
2人と別れて下足室を出ようとした時だった。
「風野さーん」
背後から粘りのある声がかかった。
慌てて振り返ると、クラスの女子数人が嫌な笑みを浮かべながら此方の様子を窺っているところだった。
「さっき担任とすれ違った時にさぁ、なんかちょっと聞き捨てならないこと言われたんだけどぉ」
何の話だろうかと思わず身構える。彼女たちの名前すら覚えていないし、そもそも関わったことすらないはずだ。
どうしていきなり声を掛けられたのだろう。
「風野さん、先週1人で教室掃除やってたって本当ぅ?」
先週の放課後のことを思い出し、私はゆっくりと頷く。
出席番号によって振り分けられた班で担当区域を掃除するというのがクラスで4月に決められたルールだった。
ただ、それを守る生徒はごくわずかで、いつも殆どの生徒がサボっていた。
「それってなんか、うちらが風野さんのこといじめてるみたいじゃん。
うちらの評価悪くなるからやめてほしいんだけどー……」
理不尽な物言いに一瞬で腹が立ったものの、態度に出さないように気を付けた。
「そんなつもりはないし、私が好きでやってただけで……」
そう控え目に応じてみる。
「それって、掃除が趣味ってこと?面白―い」
ケラケラと笑う女子たちに腹は立ったけれど、ストレートに怒るなんてことはできなかった。
「じゃあさ、美化委員やりなよ、美化委員!
毎日学校中の掃除ができて超楽しいよ、絶対!」
女子たちはそう言うと、ゲラゲラと下品な笑い声を上げながら教室棟へと続く階段を上って行った。
「風野さーん」
背後から粘りのある声がかかった。
慌てて振り返ると、クラスの女子数人が嫌な笑みを浮かべながら此方の様子を窺っているところだった。
「さっき担任とすれ違った時にさぁ、なんかちょっと聞き捨てならないこと言われたんだけどぉ」
何の話だろうかと思わず身構える。彼女たちの名前すら覚えていないし、そもそも関わったことすらないはずだ。
どうしていきなり声を掛けられたのだろう。
「風野さん、先週1人で教室掃除やってたって本当ぅ?」
先週の放課後のことを思い出し、私はゆっくりと頷く。
出席番号によって振り分けられた班で担当区域を掃除するというのがクラスで4月に決められたルールだった。
ただ、それを守る生徒はごくわずかで、いつも殆どの生徒がサボっていた。
「それってなんか、うちらが風野さんのこといじめてるみたいじゃん。
うちらの評価悪くなるからやめてほしいんだけどー……」
理不尽な物言いに一瞬で腹が立ったものの、態度に出さないように気を付けた。
「そんなつもりはないし、私が好きでやってただけで……」
そう控え目に応じてみる。
「それって、掃除が趣味ってこと?面白―い」
ケラケラと笑う女子たちに腹は立ったけれど、ストレートに怒るなんてことはできなかった。
「じゃあさ、美化委員やりなよ、美化委員!
毎日学校中の掃除ができて超楽しいよ、絶対!」
女子たちはそう言うと、ゲラゲラと下品な笑い声を上げながら教室棟へと続く階段を上って行った。