・*不器用な2人*・(2)
城島君が出て行って直ぐ、淳君が私を振り返った。
「綾瀬は気付いた?」
そう聞かれ、私は首を横に振る。
「あの子、敬語で喋ってたじゃん」
言われてみて、ハッとした。
いつからかは分からなかったけれど、確かに出て行く時に城島君が敬語で挨拶をしたことは記憶に新しかった。その少し前も。
淳君と座ったあたりからはずっと敬語だったような気がする。
更に記憶を遡らせれば、芳野君と話している時、城島君はいつもの軽い喋り方ではなかった。
「頭悪いフリ、してるだけなんじゃないの」
淳君の言葉に、「まさか……」という言葉を零れた。
「だって、何の為に……?
城島君は何もできないからって理由でバスケ部の人たちから使われてるんだよ?」
笑顔が作り物だということも、明るい性格が天然のものでないということも、分かっていた。
ただ、彼のあの頭の悪さだけは疑うことをしていなかった。
急に突き付けられた可能性に、少しだけ嫌な汗が流れる。
「スポーツ推薦で底辺校に来るくらいだから、頭は良くないかもしれないけど。
でも、敬語が喋れないのは嘘だと思う」
「綾瀬は気付いた?」
そう聞かれ、私は首を横に振る。
「あの子、敬語で喋ってたじゃん」
言われてみて、ハッとした。
いつからかは分からなかったけれど、確かに出て行く時に城島君が敬語で挨拶をしたことは記憶に新しかった。その少し前も。
淳君と座ったあたりからはずっと敬語だったような気がする。
更に記憶を遡らせれば、芳野君と話している時、城島君はいつもの軽い喋り方ではなかった。
「頭悪いフリ、してるだけなんじゃないの」
淳君の言葉に、「まさか……」という言葉を零れた。
「だって、何の為に……?
城島君は何もできないからって理由でバスケ部の人たちから使われてるんだよ?」
笑顔が作り物だということも、明るい性格が天然のものでないということも、分かっていた。
ただ、彼のあの頭の悪さだけは疑うことをしていなかった。
急に突き付けられた可能性に、少しだけ嫌な汗が流れる。
「スポーツ推薦で底辺校に来るくらいだから、頭は良くないかもしれないけど。
でも、敬語が喋れないのは嘘だと思う」