続・鉢植右から3番目


 不満のようだった。・・・えーと、すんません、普通でしかも地味な女で。

「漆原君?」

 今度は佐々波さんが声を上げる。

 あ、もう、うっそ~!!!私は泣きたい気分だ、てか、今すぐ地団駄を踏みまくりたい。これって酷くない?

 渡瀬さんの乱入は私の助けにはなってない。少なくとも、私の夫が誰であるかを敵にバラしてしまったのだから。

「あんた、漆原君と結婚してるの?」

 佐々波さんの瞳が光る。・・・・やっぱり、喜んでるよ。次の行動が簡単に予想出来るわね。

 この女、きっとヤツにチクリに行く。

 廊下の端の窓を思わず見詰めた。あそこから、この女を突き落とせないかと考えたのだった。・・・ダメだ。嵌め殺し窓・・・。

 じゃあちょっとホテルのカウンターまで降りて行って、聞いてみようか?すみませんけど、包丁お借りできます?って。

 私はもう半泣きで彼女を睨みつけた。

「あんた、自分が不幸な女だからって人に八つ当たりするの止めなさいよ!」

「そうよそうよ~」

 渡瀬さんがまた口を挟む。そのタラーっとした緊張感のない声が乱入する度に、私の体から力が抜けていく。ああ~・・・。

「自分を正当化するの止めたら?所詮あんたは不倫女よ!」

 佐々波さんが頬を腫らしながら言う。


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