続・鉢植右から3番目
もう余りのことで、言い返す気力もなくなった私は大きくて重いため息をついた。
全身びしょ濡れで、化粧も落ちて妖怪みたいな顔面になっているはずだ。どうしてこんなことに?何でなのよ。
ちらりと私に目をやった渡瀬さんが、ふうん、と呟いた。それから佐々波さんを見た。
「・・・考えるに、あなた、夫に浮気されてるのね?」
ハッと佐々波さんが固まる。渡瀬さんは例の、「視線攻撃」を彼女にしている。
美しくラインを引いた大きな猫目でじっくりと荒れる女の全身を見詰めだした。乱れた髪、走ったので服装もよれているし、釣りあがった目と腫れた頬。その全身を、ゆっくりと丁寧に眺め回している。
佐々波さんがヨロヨロと後ろに下がった。
ふ、と渡瀬さんの唇から嘲笑が漏れる。
「ふうん・・・まああなたレベルじゃ仕方ないんじゃない?ダンナを寝取られて、それとは関係のない同級生に発狂するなんて大変醜いことね」
「・・・な、何ですって・・・」
一応言い返そうとはしたらしいが、言葉は小さくなって消えていく。私に殴られた以外の場所も、見る見るうちに真っ赤になっていく。
すんげー、視線攻撃・・・。それに、超辛辣なあの言葉。