続・鉢植右から3番目


 あーあ。代わりの小鉢を買ってきて、植えなおそう。そうすれば少なくとも外見上は元通りになるのが判っていた。

 だけどもショックだった。

 何だか、嫌なことが更にやってきそうな前兆に思えたからだった。

 上の鉢がなくなってしまった受け皿の上で、この部屋の合鍵が太陽の光を浴びている。

 私は仕方なく、不在になってしまった3番目の皿から合鍵を取り出し、隣のベゴニアの鉢植の下へ移動させる。

 深いおわんを持ってきて、サルビアを避難させた。




 その夜、7時を過ぎてヤツは帰って来た。

 家に私がいるので驚いたようだった。玄関を開けて、私がお帰りと声をかけるとちょっと動作を止めてじっと見ていた。

「どうしたの?入れば?」

 そう言うと、もそもそと家に入り、施錠する。

「・・・まだだと思った」

「あ、ええと。早く帰りましたので・・・」

 実際には実家には行ってないとは言えない私はもごもごと口の中で言葉を誤魔化す。

「お腹すいた?すぐご飯出来るよ」

 話題を変えたくてそう言うと、うん、と頷いて、すたすたと寝室へ消えて行った。


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