続・鉢植右から3番目
だけど私が話さないと、基本的に無言なのだ。
うおおおお~!!どうしたらいいの!?毎日あんなに何をしゃべっていたんだ、私!!
表面上は普通だったと思うけど、脳内ではバタバタと一人で暴れまくっていた。
自分の過去の不倫について聞きたくて、でもそれをどう聞いたらいいかがわからなくて、すると普通の会話の仕方すら忘れてしまったのだ。
日本人らしく天気の話でもする?それとも日経平均株価?・・・ダメだ、私はヤツと株の話なんぞしたことがなかった。じゃあ、じゃあ――――――――
沈黙の中食事は進む。ヤツは自分のお皿をきっちりと空にしていく。お代わりがあれば立ち上がり、自分で入れる。
そしてまた無言で食べる。
私は前で石のようになっていた。食べてはいる。だけど味がわからない。緊張していてパニクっていて、どうしたらいいのか判らない。
ううううう~・・・・。
「あ、あ・・・の・・」
焦って何とか出した言葉はそんな声。ヤツはいつものように目だけを上げて、前髪の間から私を見た。
「え・・・ええと~・・・」
ヤツはじっと見て私の言葉を待っている。多少、怪訝な顔をしていた。ちょっとちょっと・・・私、しっかりしてよ~。
「き、君は今日、どこへ行ってたの?」