ヴァイス君の日常
姫さんと俺とニコル


「あぁ・・・幸せ」


俺は今、ベッドで寝転がりながら幸福感に包まれていた。

実際は、幸せに浸っている場合じゃないんだけど・・・


「お体の具合はどうですか?」


そう話し掛けてくれるのは我らが氷の王子の大切なお姫様。


「はぁ、はぁ・・・ん~、さいこ・・いや、最悪」


「まだ、お熱が高いですから お薬飲まないとダメですね」


俺の額に、ひんやりした華奢な手を乗せながら難しい顔をする姫さん。

何でこんなことになっているのかと言うと・・・


昨日、深夜まで俺を背に乗せて飛び続けていたお嬢さん。

ご丁寧に、崖にある住処まで連れて行かれて自力で戻って来た。

そして見事に風邪をひいた俺。

朝起きたら頭はガンガン、鼻水ダラダラ。



今日、王子は・・・

陛下に呼び出されて公務に出掛けている。


城を出るまで姫さんを連れて行くと言い張っていた王子だが姫さんに説得されると珍しく折れた。


---まぁ、馬の足で2時間程度の場所だけど・・・


あんな従順な王子を見れる日がくるなんて・・・姫さん最強っ!


そして、渋々・・・ほんとに苦々しい顔で出掛けて行った王子を見送った姫さんは廊下で偶々ルイスに会って今、医務室が風邪っぴきで大混雑しているのを見かねて看護のお手伝いをしている。

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