悪魔的に双子。

百合人と青

朝起きると、有志を起こす時間の一時間前だった。


いつもより少し早いが、二度寝するとまた寝過ごしそうなので、しぶしぶ起き上がった。


一階に降りると、珍しく人の動く音がする。


お父さんかお母さんだろうか。


ほかの三人だとは考えにくい。


なんとはなしに台所に入って、思わず


「あ」


と声が漏れた。


日本人形みたいに整った顔の男の子がこちらを向く。


「おはよう」


と単調なあいさつに、わたしは慌てて


「おはようございます」


と返した。


そういえば昨日突如お母さんの弟が現れたんだった。


寝ぼけて忘れていた。


わたしは自分の格好を見下ろして罰が悪くなった。


青色のパジャマ


昨日会った男の子にパジャマ姿見られるなんて、気まずい。


でも、百合人くんはわたしの格好なんて眼中にないみたいで、もくもくと菓子パンを頬張っていた。


カッターシャツを着て紺色のズボンを履いている。


制服だろうか。


「朝ごはん、それなの?」


おずおずと尋ねると百合人くんはどうでもよさそうにうなづいた。


「コンビニで買ってきた。お金は貰ってるから」


入院したっていう真昼と唯流のおばあさんから?


いつまでいるのか知らないが、まさか、毎朝コンビニで朝飯購入する気だろうか。


「……今から朝ごはん作るから、食べて」


「いらないよ、そんなに食べない」


百合人くんがめんどくさそうに言う。


……なんか妙に腹が立つ。


「だめ、朝ごはんは大切なんだから、菓子パンだけじゃ体に良くない。」


ぴしゃりと言うと、百合人くんが目を見開くのが視界の端に見えた。


反論する暇は与えず冷蔵庫に直行して食材を取り出す。


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