悪魔的に双子。
それから毎朝、わたしと百合人くんは家族がまだ寝ている時間に一緒にご飯を食べた。


百合人くんは口数が少ないから会話はほとんどないけれど、彼といるのは、なぜかとても居心地が良かった。


百合人くんの通う高校はここから電車1時間30分プラス徒歩10分くらいのところにあるらしい。


徒歩通学しか知らないわたしとしては、100分間の通学時間と言うと途方もないものに感じるのだが、百合人くんは実家にいた時は一時間自転車を漕いでいたとかで、それに比べればまったく苦ではないらしい。


お母さんのお見舞いには学校帰りに毎日行ってると言っていた。


一応わたしにとっては義理のおばあちゃんなんだけれど、百合人くんと話していると、どちらかというと『百合人くんのお母さん』という感じがしてピンとこない。


真昼が言っていたようないたずらは仕掛けられていない。


やはり時間が経てば悪ガキも大人になるということか。


真昼にそのことを言うと、なんとも言えない顔で、静かに首を横に振られた。


お父さんとお母さんはわたしと百合人くんが言葉を交わすようになって一安心している。


そりゃ、もともと四人もいる子どもの中に、さらに一人増えるのだから、果たしてうまくやっていってくれるだろうかと不安だっただろう。


特に、実は気の弱いお父さんなんかは、内心真っ青になってたんじゃないかと思う。


有志もほっとした顔をしていた。


唯流はますますわたしの扱いが酷くなった。


「青なんて、キライ」


と何の脈絡もなく突然言い放つ。


今更傷つくでもないが、唯流がどうしてそこまで百合人くんを嫌うのか、真昼の話だけではいまいち納得できていない自分がいた。
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