悪魔的に双子。
「先輩?いつから?」


「うーん、有志がバスケ部入ってすぐくらい」


「一年たってるんだ……青って一途」


わたしはちらりと有志をみて首をかしげた。


「一年好きだったら、もう一途?」


有志は大真面目にうなづいた。


「だって近藤先輩とか兼田先輩とか、一ヶ月おきくらいに好きな人変わるもん」


……誰だ、そいつら。


「龍三郎は一週間おきくらいに彼女変わるし。」


「アレと一緒にするな」


「あっ、ごめん」


さげすみのようなものが滲みでるわたしの口調に、有志は反射的に謝り、少したってぷっと吹き出した。


わたしの兄は、反応が通常の人よりワンテンポずれてる。


「龍三郎、アレ扱いか。かわいそ」


「あんなの、アレで十分」


「龍、モテるんだよ?」


「……知ってるし」


「優しいとこもあるしね」


「うそ」


わたしは白い目をして有志の方を向いた。


わたしの知ってる新田龍三郎というやつは、人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべるチャラチャラしたやる気のないやつでしかない。


「ホントだよ。今日だって…」


有志は少し戸惑うようにわたしを見て言った。


「青が泣いてるの見つけて、僕に言ってくれたの龍だし。」


「……へぇ」


……おもしろがってただけだと思うけど。


「ああ、そうだよっ」


有志は突然ぽんっと手をうった。


「何?」


「何で泣いてたの?」


「いまさらだなぁ」


「うん……ごめん」


わたしの好きな人うんぬんで忘れてのだろう。
< 30 / 272 >

この作品をシェア

pagetop