悪魔的に双子。
新聞部に行く蓮にさよならを言って音楽祭へ向かった。


廊下を歩きながら、ピアノの音が聴こえてこないことにわたしは首をかしげた。


休憩中なんだろうか。


「失礼しまーす。……凛太朗先輩?」


音楽室はもぬけのからで、ピアノが寂しく佇んでいた。


何かで遅くなってるのかもしれないので、凛太朗先輩を待つことに決めたのはいいものの、しーんとした音楽室は慣れなくてなんだかそわそわした。


10分ぐらい本を読んでいたけれど、気が散って集中出来ない。


わたしはため息をついて立ち上がった。


探しに行こう。


校舎中周って、もっかい音楽室来て、先輩がいなかったらもう有志のところへ行こう。


真昼のファンの問題や、田城と新田のこと、蓮の過去の話を聞いたことで、今のわたしは落ち着いていられる気分ではなかった。


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