悪魔的に双子。
「会いに行ったの?その男の子に」


蓮はそっけない笑みを漏らして首を縦にふった。


「調べれば分かるもんだよね。その子の住所調べて、会いに行った。


田城も一緒に行くって、着いてきてくれた。


口じゃ突っぱねてたけど、正直ありがたかったよ。


一人じゃ心細いし、怖いし。


でも……結局会わなかった。」


「……なんで」


「駅降りたすぐんところに中学校があってさ、多分部活かな?エナメルバック持った制服姿のあの子を偶然見かけたの。


友達と、楽しそうに笑ってた。


今が幸せなら、いまさら現れたって、過去の傷えぐるだけだなって思った。


謝ったってわたしの自己満だし、逆に謝られても腹立つだけだろうし。


ってことに電車乗りついで行った末にようやく気づいたってやつ。


まぁ、楽しそうな顔見られて良かったけど。


おかげでだいぶ心晴れたし。」


軽めに言ってるけど、その子の笑顔見れたことで、多分蓮は救われたんだろう。


そして、わたしが予想するに田城の付き添いがなかったら蓮は会いにはいけなかった。


とんでもない奴のくせして、変なところで臆病だから。


「……田城がいて、良かったね」


思わず思ったことが口をついで出た。


蓮はわたしに苦笑いを向けてうなづいた。





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