OCEAN SONG

「おそーい」

「ごめん。早く行ったつもりなんだけど。
てか、直接向かうって言ったのに

わざわざ来たの?
家で待ってくれても良かったのに」

「だって一秒でも早く
行きたかったんだもん」

さあ、早く行こう、と言って
琴海は私の腕を掴む。

駅前を横切ると
小さな商店街が顔を出す。

ある洋服屋の前では
よくジャニーズの曲が流れている。

その古びた洋服屋に今時のジャニーズの
歌が流れるなんて釣り合わないね、
なんて笑いながら文房具屋を目指す。

小さな和菓子屋の向かいに
その文房具屋はある。

洋服屋と同様、小さな古びた建物だが
学生たちがよく立ち寄って賑わいを見せている。

「これください」

琴海が会計を済ませている間、
私はあちこちに広がっている

鉛筆やノートを
これ見よがしに眺めていた。

そして、ふっと目についたノート。
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