お嬢様になりました。《番外編》
いつ頃からかは忘れちゃったけど、私と隆輝がくっついてても、橘さんは文句を言ったりしなくなった。


本人に『何で?』なんて聴ける訳もなくて、隆輝に『橘さんと何かあったの?』って聞いたら、『別に』と言われた。


『別に』っていうあっさりした返事に余計疑問が湧いた。


普段の隆輝なら、もっと怒ったような口調で否定すると思うんだよね。


気になるけど詳しく聞けないし……。



「何人の顔ジロジロ見てるのよ」

「っ!?」



カフェでランチを食べていると、橘さんにキッと睨まれ、凄い勢いで心臓が飛び跳ねた。



「な、何でもない」

「相変わらず変な人ね」



玲といい、橘さんといい、何で私の事変人扱いするんだろ……。


未だに謎だ。


二人にとって一般人は変な生き物なのかもしれない。


二人だけじゃなくて、この学校に通う特別生はみんな一般人の事を変な生き物だと思ってるかも。


私からしてみれば、この学校の特別生の方が変な生き物だよ。



「今週土曜、夕方六時に迎えに行くから、それまでにちゃんと準備済ませとけよ」



隆輝にそう言われ、私は首を傾げた。



「土曜って何があるの?」





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