お嬢様になりました。《番外編》
隆輝は眉間に皺を寄せ、口を開け呆れた様な顔をした。


この顔を見慣れつつある自分がヤダ。



「お前は馬鹿か。 土曜はパーティーがあるから、パートナーとして一緒に参加しろって言ってただろうがよ!!」

「そんなに怒んなくてもいいじゃん!! ちょっと忘れてただけでしょ!!」

「俺が言わなかったら当日迄忘れてただろうが!!」

「うっ……」



た、確かに……。


今言われてなかったら、当日隆輝が迎えにきて慌てて準備するはめになってた。



「ご、ごめん……」

「お前の物覚えの悪さは天下一品だな」



素直に謝ってんのになんなのその言い方!!


私彼女なのに……ムカつく!!


グッと歯を噛み締め怒りを抑えていると、優しく頭を撫でられた。


横を向くと、玲が笑顔で私の頭を撫でていた。



「気にする事ないよ。 海堂が葵にキツイのは、ただの照れ隠しだから」

「んなわけねぇだろ!!」

「そんなんじゃ葵に愛想尽かされるよ?」

「っ……」



玲の言葉に珍しく隆輝が押し黙った。


不機嫌な顔でお茶を飲む隆輝を見て、思わずため息が零れた。


寧ろ私の方が愛想尽かされそう。


教養も品もなくて、優雅さも美しさも根っからのお嬢様の足下にも及ばない。


正直、隆輝と釣り合いがとれてないと思う。





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