お嬢様になりました。《番外編》
しかめっ面で隆輝に噛まれた手を摩っていると、冷んやりとした手に掴まれ顔を上げた。



「玲……?」

「赤くなってる。 大丈夫?」

「だいじょう……」

「んな事よりあいつ何なんだよ」



んな事よりってどういう意味よ!!


割って入ってきた隆輝の顔を思いっきり睨み付けた。


でも全く効果はなかくて、寧ろ鼻で笑われてしまった。


ムカつく。



「確かあの方、世界中で活躍させているモデルさんではありませんか?」

「そうだよ。 カルロは数々の有名なショーにも出てるし、ハイブランドのイメージモデルもやってる」



そうなんだ。


それにしても、芽衣って色んな事知ってるよね。



「だから何処かで見たことあると思ったんだわ」

「私全然わかんないんだけど……」

「貴女世間の事に疎そうだものね」



うっ……言い返せない。


黙り込んだ私を見て、橘さんは呆れた顔をした。



「あんなカルロ、初めて見た」



首を傾げて玲を見上げると、玲に頭を撫でられた。


玲に頭を撫でられると気持ちいいんだよね。


その心地良さに浸っていると、隆輝が玲の手を振り払った。





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