お嬢様になりました。《番外編》
いつもならからかう様に対応する玲が、真剣な顔で隆輝を見ていた。


隆輝もそれに気付き、不機嫌そうに顔を歪めた。



「何だよ」

「そんな態度ばかり取ってたら、カルロに足元すくわれるよ」

「どういう意味だよ」



玲にチラッと視線を向けられ、背中に緊張が走った。


な、なんだろ……。



「本気で葵を自分のものにする気って事。 昔からの付き合いだけど、あんな目をしたカルロを初めて見た」

「な、何言ってんの! あんなの絶対冗談だって! からかわれてるだけだよ。 ね? そう思うでしょ?」



芽衣と橘さんに同意を求めたけど、芽衣は意味あり気な笑みを浮かべ、橘さんは苦笑いを浮かべていた。


何で誰も何も言ってくんないの!?



「葵」

「は、はいっ」



玲に呼ばれ顔を向けた。



「出来る限り守るから」



守るって……本当に本当に万が一口説かれたとしても、『ごめんなさい』って一言いえばいいんじゃないの?


大袈裟な……。



「アホくさ」



隆輝は面倒くさそうに吐き捨て、一人何処かへ行ってしまった。


アホくさって……それは幾らなんでも酷くない?


流石に凹む。


隆輝の気持ちがよく分からない。


私の事好きで怒ってくれてるのかな?


それとも自分のプライドの為に怒ってるのかな?


もしそうなら悲し過ぎる。





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