お嬢様になりました。《番外編》
「葵さん、もうドレスは決めてらっしゃいますの?」



怪しくなった空気を緩和する様に、芽衣の柔らかな声が割って入ってきた。



「ううん、まだだよ」

「でしたら学校が終わってから、一緒に買いに行きませんか?」

「行きたいっ!!」



そう言えば、芽衣と買い物って行った事ないかも。


学校の後に何処かに行くのも初めてだ。


私は橘さんの方へチラッと視線をずらし、口を開いた。



「橘さんも良かったら一緒に行こうよ」

「どうして私が貴女なん……」

「いいですわね!! 三人でお買い物して、お茶しましょう」

「だから!! 私は行かな……」

「早速今日の放課後は如何ですか?」



見事に橘さんの言葉を遮り話を進める芽衣。


強引ながらも嫌な感じはしない。


私には使えない技だ。


お見事としか言いようがない。



「私は今日大丈夫だよ」

「エルザさんも大丈夫ですよね?」



有無を言わせない芽衣の一言に、橘さんはため息を吐き、観念したかの様に頷いた。


実はこの中では芽衣が最強かも……なんて、密かに思ってしまった。





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