スイート・プロポーズ
断固として譲ろうとしない円花に、夏目はやれやれと折れることにした。
「えっと、ありがとうございました」
「ん」
円花はペこりと頭を下げて、タクシーを素早く下りた。
そのまま、自宅マンションまで駆け込む。
「・・・・・・結構濡れちゃった」
濡れた髪が、肌に張り付く。
スーツや足元も濡れてしまったと気にしながら、円花は道路を振り返る。
タクシーの姿は、もうない。
「! あ、メールか・・・・・・」
鳴り響く携帯を取り出し、メールを読む。
【風邪引かないように。
おやすみ】
それは、業務連絡のメールじゃない。
「・・・・・・」
円花は入力ミスがないよう気にかけながら、メールを返信する。