スイート・プロポーズ

肌触りの良いシーツを手で撫でながら、とりあえず時計を探す。


「21時過ぎ……」


ベッドサイドに置いてあったデジタル時計で、時間を確認する。

三時間も寝ていたようだ。


「ど、どうしよう……」


はじめて恋人の家に来たのに、寝てしまうなんて。

自分が情けなくて、呆れてしまう。


「部長は……」


もしかして、怒ってる?

呆れているかもしれないけど、怒っているよりはマシだ。


円花はベッドから降りると、スカートのシワを手で伸ばす。

髪も整えて、気合いを入れる。

第一声は、ごめんなさいから入るべきか。

それとも――。


「――よし!」


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