スイート・プロポーズ
いろいろ考えたけど、なるようになれ、だ。
円花は戦いに挑むような気持ちで、リビングへと飛び出した。
「……カレーの匂い?」
リビングへ出た瞬間、鼻腔を通り抜けたのはカレーの香り。
そう言えば、起きたときから美味しそうな匂いがすると思っていたんだ。
状況を把握するのに必死で、香りは殆ど無視していたから、気づかなかった。
「起きたのか?」
「あ、部長……」
キッチンから顔を出した夏目の手には、お皿が二枚。
「あ、あの、私……」
「お腹は?」
「え?」
「お腹は空いてる?」
反射的に、コクリと頷く。
夏目はそうか、と笑って、またキッチンへと引っ込んでしまった。