スイート・プロポーズ
「何て言えばいいのかしら……?」
「落胆?」
「意味一緒でしょ」
すぐ目の前は会社だというのに、ふたりは一向にその場から動こうとしない。
「別に、期待してた訳じゃないの。覚悟はしてたわよ」
「そうね。男の、しかも彼氏の家に泊まるんだもの。必要よ」
自身の行動を振り返りながら、考えを整理する。
何かがあってほしかった訳じゃない。
夏目のいろんな顔を見れたし、楽しかった。
楽しかったけれど、ただ――。
「……そうか」
「何? 答え、見つけた?」
円花の顔が、徐々に赤くなる。
「ど、どうしたの?」
この暑さのせい?
美琴が心配そうに、円花の顔を覗きこむ。