スイート・プロポーズ
「・・・・・・タクシー、遅いですね」
「そうだな」
チラッと、横目で夏目を見てみる。
幸い雨は、小雨程度。
それでも、夏目の髪やシャツは濡れている。
(やっぱり、ジャケット返そうかな。申し訳ないし)
「どうかしたか?」
バチッと目が合い、円花はうろたえる。
「いえ、あの・・・・・・部長、濡れてますし・・・・・・」
目を伏せながら、ジャケットを返そうと頭から下ろす。
雨が頬に触れて、視線が上がる。
「濡れるぞ」
「部長も濡れてます」
ジャケットを返そうと隣を見れば、射抜くような夏目の視線に、動きが止まる。
(な、なんで見られてるんだろ)
何故だか、視線を外そうにも外せない。