スイート・プロポーズ
「夏目部長がいなかったら、俺、広報部どころか会社も辞めてたかもな」
笑いながら、倉本はビールを喉に流し込む。
「いい上司ですよね」
「だな。そういった意味だと、お前は運が良かったんだぞ。夏目部長が教育係だったんだから」
「・・・・・・厳しかったですけどね」
嫌味を言ったりはしないが、ダメな部分を容赦なく指摘する夏目の教育は、とても厳しかった。
「・・・・・・そういや、冬ぐらいだったっけ? 小宮が部長に怒鳴られてたの」
「あぁ、あれですか」
円花は目を伏せ、声のトーンが落ちる。
入社一年目の冬のこと、円花は仕事で失敗し、夏目に鬼の形相で怒鳴られた。
「部長があんなに怒鳴るの、初めて見た」
さすがの倉本も、円花が心配になったと言う。