小さな光 ~月と太陽~
聞かなきゃ良かった。


『朱音さんの事は好きだったの?』



藤も好きだから付き合ったはず。


あたしから聞いたくせに藤の答えを聞きたくない。


耳を塞いでしまいたい。



「朱音さんが好きだったかって聞かれると…わからない。

俺は朱音さんが毎日ホテルまできて俺に『好き』って言ってくるからそれで俺が折れたんだ。


…………けど今考えると、朱音さんの事は好きでは無かったかもな」


「ホント?」


「あぁ、別れ話を切り出したのは向こうだし俺は別れたからって悲しくも何ともなかったし」



ヒドイよな、俺ってと言ってアハハと笑った。


藤に恋愛感情が無かったとわかって少しホッとしたあたしがいる。


あたしは体を動かして藤と向き合う形になった。


「今は?今はあたしの事、好き?」


藤はクスッと笑い「好きだよ」と言ってくれた。



『好き』と言われて嬉しいはずなのに、『恋愛感情』が無かったと分かったのに…


なんだか納得しない。


あたしを見るあの視線。

冷たい視線。


朱音さんは藤の事を今でも…









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