小さな光 ~月と太陽~
喫茶店へ入るともう朱音さんはいた。


「遅れてすいません」と言ってあたしは朱音さんの向かい側の席に座った。



「そう言えば…あなた名前は何?」


「月岡 梓です…」


「梓ちゃんね…」


「あの、名前は?」


「あたしは笹倉 朱音【ササクラ アヤネ】よ。
…………藤から聞いていない?」


「少しだけ………」



『藤から聞いていない』


藤と呼び捨て。


2年も付き合っていたのだから当然か…



「梓ちゃんは藤より結構年下よね…いくつかな?」


「16です」


「16って事は…“高校生”ね」



『高校生』


そう言った時の朱音さんの顔はニヤッと笑った。


その笑いには『まだまだ子供ね』と言われているようだった。


喫茶店に入ってきた人は皆、朱音さんを見る。


朱音さんはあたしから見てもとてもキレイな女の人。








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