小さな光 ~月と太陽~
あたしがその人の名前を知っている事に驚いたのか、あたしの肩を抱き寄せて腕が緩んだ。


「ねぇ、誰なの?」


あたしは藤の目を見てしっかり聞いた。


もうこれ以上隠されるのはイヤだ。


「聞いている?」


藤は目をパチパチさせ驚いている。



どうして何も言ってくれないの?

もしかして本当に浮気しているの?



「明日って本当に仕事なの?
仕事って言って本当はその“さくら”さんに会うんでしょ?」


「ちょっと待てっ」



何が待てなの?

今まで何も話さなかったのは藤じゃん。

待つだなんて、そんなこと…


出来ない。


「あたしずっと知っているんだよ」


「待てアズ。
俺の話を聞けって」


藤はあたしをなだめようとしているが


そんなの関係ない。




あたしはもう止まらない。













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