小さな光 ~月と太陽~
家まで手を繋ぎながら帰った。


「ほらっ」


そう言って如月さんは手を出してくれた。


最初はどういう意味か分からなかったあたしは動けずにいた。



「手、繋がねぇの。

本当はまだ怖いんだろ?」


「いいんですか?」


「当たり前だろっ!お前は俺の彼女なんだから…」


『彼女』



あたしは自分の手を如月さんの手に合わせた。


如月さんの大きな手は、

あたしの小さな手をすっぽり包み込んでしまう。



「なぁ、どうしてタクシーを使わなかったんだ?タクシーの方が早いし怖くないだろ?」


「うん………」



そんな事、分かっている。

暗いのが分かっているのにタクシーを使わなかったのはあたしのわがまま。



「アズー?俺の話し聞いていたか?」


「聞いていました」


「だったらどうして?」


「………」



言えるはずが無い。


如月さんの過去を知り、あたしが如月さんの闇を照らしてあげたいと思っただなんて…



「まぁいいや。アズが俺に言いたくなったら話してくれれば」



あたしは心の中で何度も謝った。


『ごめんなさい、如月さん。ごめんなさい、あたしが弱くて』







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