水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」 

20.抱えた想い -氷雨-



取引現場を見ちまったあの日から、
学校を休み、自宅にも戻らず、
妃彩の傍にも行かないまま、時間だけが過ぎていく。


季節は12月に届こうとしていた。


オレが守りたいものから距離を取り始めて
本格的に情報収集を行い始めた頃、
周囲から様々な異変が起こっている現実を知る。



優の実家に庇護されながら、
氷見の力を使える、朔良さんの情報を頼りに
オレはエスカルゴの幹部室で、
ここ暫く取りまとめた情報を確認していた。





もう12月。


12月に入ったら、
クリスマスイヴなんてあっという間だろ。



なんだって……オレは、
この時期にこんなめに会ってんだよ。


好きな女一人、
傍で守ってやれないで。




苛立ちだけが募って行く。



妃彩、オレはお前に
逢いに行けるんだろうか……。





随時入って来る、
紅蓮のメンバーからの情報。


影狼絡みの時に、助けた奴らからも
入って来る、今回の薬物に関わる情報。



一連の事件はデカそうだ。


その薬物の名は、
ナイトメアと呼ばれているもの。

暴力団の高嶋連合が上にいて、
影狼の連中から、学生たちの中に広まって行った。


取引されている現場は、
無数にありすぎて、学生間同士のやり取りが殆ど。


ただし、核になるその学生に接触してるのは
やっぱり中心となる奴がいて、
オレが目撃したような現場が、
この界隈のあちらこちらに複数あるようだった。


その現場に居合わせたものが、
事故死を遂げているのが、
何件も報告に上がって来ていた。
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