水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」 


オレ自身も今日に至るまで、
外に出る度に、
何度か車に轢かれそうになった。


オレみたいに
命を狙われて落とした奴もいること。



最後に気になるのは、
未成年の学生たちの間で蔓延している、
謎の自殺。


その自殺者の中からは、
決まって通称・ナイトメアと呼ばれている
ドラッグが検出されている。


だが警察からはこの手のニュースは、
発表されていないところを見ると
情報規制がひかれているのだと思えた。


12月になって更に、2週間。
クリスマスまでカウントダウン間近。



エスカルゴと、優の自宅を
往復しながらも、
進展が得られないまま時間がだけが過ぎていた。



結局一度も、家に帰ることなく
二学期も終わりそうか……っと、
カレンダーを見つめながら溜息を吐き出した。




ふいに携帯が鳴り響く。
電話相手は兄貴。



無視をしようと思ったものの、
何度も何度も着信を繰り返す電話に
諦めたように手を伸ばした。




「もしもし」

「氷雨、お前まだ居るんだろう。
 あの不良の奴らと一緒に。

 学校の期末テスト、終わったぞ。

 何やってんだよ。
 そんなだから、母さんが……」


そうやって声を濁らせる兄貴。



「おふくろがなんだよ?」

「お前が帰って来なくて、
 精神的に参ってる。

 鬱状態だよ。

 父さんも帰ってこないし。

 僕だって、
 これからが受験本番だ。

 集中したいんだよ」




電話の向こうで
珍しく声を荒げる兄貴。



そんな兄貴は珍しかった。



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